紀伊国屋でふと見つけた本が面白かったのでご紹介.オリジナルのタイトルは”NEXUS: Small Worlds and the Groundbreaking Science of Networks”.このタイトルにあるように,生物,経済,情報,脳科学などの様々な分野で研究されているネットワークを題材に,それらのネットワークに共通する1つの性質「スモールワールド」を紹介した本.言い回しが大げさなのと,冗長性が高い部分はちょっと読んでいて中だるみを感じるが,ネットワーク科学で「スモールワールド」が重要なキーワードであることは,十分すぎるぐらい理解できる.
スモールワールドとは,クラスター化指数(ノードが密集具合を表す数字)が高いにもかかわらず,隔たり次数(任意の2つのノード間の距離)が小さいネットワークのことをいう.ランダムネットワークだと隔たり次数は小さいけれども,クラスター化指数は小さくなる.また,クラスター化指数が大きくなるようにネットワークを「規則的に」構成すると,今度は隔たり次数が大きくなる.スモールワールドはまさにその中間に位置する.そして,機能的であるネットワーク(人間関係,インターネット,脳,同期して光る蛍など)はこの性質を持っているらしい.例えば,人間関係の隔たり次数は高々6らしいです.
実は「スモールワールド」はこの本で初めて聞いた言葉ではなく,前回参加したRECONF研究会の熊本大学の方が発表された研究で,再構成デバイスの配線遅延を削減するために利用されており,そのときからスモールワールドに興味を持っていた.今回この本を買うときに邦題だけ見て面白そうと思って買ったのだが,スモールワールドを紹介する本だということがわかったときには,変なところで繋がっているなーと軽く驚いた.これも一種のスモールワールドかも?