「空海の風景/司馬遼太郎」を読了.こういう歴史物はあまり得意ではないのだが,とてもおもしろかった.まあ空海は香川出身という事で身近に感じる人だし,マイ仏教ブームもあったので,それらの影響も大きいだろう.しかし少ない文献から,ここまで想像をたくましくして空海という人物像を描ける司馬遼太郎は(いやみではなく)すばらしいと素直に思う.なお,タイトルが「風景」とあるのは,資料が少ないためはっきりと空海の動向を追う事はできないものの,ぼんやりとでも空海の生きた時代を眺めてみたいという著者の気持ちの表れみたい.
しかし,当時は仏教=科学であると考えると,新しい科学を海外から輸入しその科学を日本に根付かせるというはすごいエネルギーが必要になるだろう.また,唐に渡るのも命がけの時代.そこまでして新しい科学を求めようとする執念は,まねできるものならまねすべきだろう.
ちなみに一昨年にこの本を読んでいればと後悔している.なぜならこの本の最後のあたりに著者が西安(昔の長安.唐時代の都.)を訪れ,空海ゆかりの大雁塔に登るシーンがある.実は,自分も昨年度は西安を訪れる事があり,この塔の前まで行った.しかし,登るまでもないと思い登らなかった.今となっては非常に残念に思う.しくしく.
さて,マイ仏教ブームはつづいている.次はどこに行こうかな?親鸞にも興味があるし,立川流にも興味があるし(ちょっとやばい?),天台宗にも興味が出てきた.